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血友病のお子さんをお持ちになられるご両親へ

血友病とともに

はじめに 血友病のお子さんをお持ちになられるご両親へ

静岡県立こども病院 血液腫瘍科 堀越 泰雄

お子さんが血友病と診断された時、ご両親はどのようにお感じになられたでしょうか。血友病とはどのような病気だろうか、他の子と同じように育つだろうか、学校へは行けるのか、運動はできるのかなどの様々なお気持ちを持たれたことと思います。またそれ以外にも疑問や不安を持たれたことでしょう。ここには、そのような疑問や不安に応えるための血友病に関する知識、対処していくための気持ちの持ち方、および必要な情報が記載されています。このような冊子はわが国では初めてのものであり、患者、家族および医療関係者に待ち望まれていました。

血友病と診断された時に、病気をどのように受け入れていくかについては、家族でまた個人で異なると思います。時間のかかる方もいれば、比較的スム-ズに見 える方もいます。病気を理解するために、背が高い子、低い子、太った子、やせた子、勉強の好きな子、体育あるいは絵が好きな子というように、1人1人が異 なるということを説明した医師もいます。いろいろな病気を持つ可能性のある遺伝子は、症状にでているか否かの違いがあっても、皆誰もが持っています。

血友病であることをまわりにどこまで話しておくかについても家族で異なります。家族も含めて周囲にはまったく話さない方、逆に誰にでも話をして、困った時には助けてもらおうという方もいます。病気のあるなしに関わらず、地域の皆で子ども達を見守っていくことは、子ども達の励みになるはずです。また、保育園や幼稚園、学校には話しておいたほうがよいでしょう。

診断がついて間もない母親で、同じ病気を持つ患者、家族の会である友の会の母親の会に出席し、涙を流された方もいました。血友病の子ども達が参加するキャンプに参加して、病気であるのは自分だけではないと感じた方もいれば、大きくなった子ども達をみることができて目標になったと言われたご両親もいます。大切なことは、病気のことを話せる人がいることです。家族、友達、医療関係者、同じ病気の子どもを持つご両親などが候補となるでしょう。特に看護師には気軽に声をかけていただきたいと思います。友の会の入会や、キャンプの参加も自由に選択できるとよいのでしょう。

血友病に関する知識を持つということはとても大切です。知識を持つということは大きな力になることと考えています。この冊子にも、血を止めるしくみや病気に関する説明が書かれています。疑問点については、この冊子を示して、遠慮なく医療関係者に質問してください。そのような対話を通して理解していくことを、我々も大切にしたいと考えています。出血の記録については、幼い頃には両親が、小学校高学年になられたら、ご自分で記載してください。このことで、製剤投与のタイミングなど、ご両親や本人がもっともわかるようになります。

現在では、血友病の治療法については確立しているといえます。しかし、治療に用いる製剤がない頃は、幼少期に頭蓋内出血で命を落とされたお子さんもいました。また製剤がない頃の出血の痛みは、言葉で表せないほど強かったそうです。また、以前の製剤中に混入していたウイルスにより、HIV感染やC型肝炎を持たれた方もいます。初期の頃は有効な治療もなく命を落とした方もいましたし、現在でも多くの方が治療を受けています。また、製剤に関する費用を国が負担するようになるまでには、多くの血友病患者、家族のご尽力がありました。現在の治療にいたるまでには、これらの多くの方たちの努力があったことやその方々のお気持ちを忘れてはならないと思います。

血友病の子ども達は、人を思う気持ちが強く、自分と向き合い、それぞれ立派に生きています。誰もが、限界はあるかもしれませんが、大きな可能性を持ってい ます。子どもが離れていく時や何かを始めようとする時には、子どもの背中をそっと押してあげ、もしも何かの障害にぶつかった時には、乗り越えていくのを見守りたいと思います。また、必要な時には、勇気を持って行動していくことも大切です。血友病の患者、家族がよりよく生活されるために、これからも患者、家族、医療者、会社が手を携えて歩んでいきたいと思います。この冊子をお手元に置いていただき、活用していただければ幸いです。

この冊子の作成には、静岡県血友病友の会である静友会の方に貴重なご助言をいただきました。この場をお借りして御礼申し上げます。また患者さまやご家族を思うバクスタ-社の気持ちが強く込められていることを付け加えておきます。なお、バクスター社はこれまでに7回の血友病ナースセミナーを主催しており、血友病に関する知識を持つ医療スタッフが増えてきています。ぜひ気軽に、お近くの看護師、医療スタッフに声をかけてください。

この冊子に関する感想やご意見をお聞かせください。この冊子を手にされた方、医療関係者、会社の方など皆の力でこの冊子をよいものにしていきたいと思います。

2004年1月

(ここに掲載している内容は2007年4月に作成された冊子をもとにしています。)

「まず、ご両親が自分たちのこどもを血友病患者である以前に人格あるひとりのこどもとしてみてあげることが大切です」

-ディートリス・バリー、ドリュー4歳、トニー2歳の母

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