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- Albumin(アルブミン)
- アルブミンは血液中に最も多く存在するたん白です。アルブミンは医薬品として大量出血によるショックややけどなどの血液中のたん白が不足した時に用いられています。現在販売されている血漿由来の第VIII因子製剤の安定化剤として、また、遺伝子組換え血液凝固第VIII因子製剤の製造工程や最終製剤の安定化剤として使用されています。
- Antibody(抗体)
- 血液中のリンパ球によって産生されるたん白で、体が異物と認識する物質と特異的に結合します。抗体は一旦結合すると、免疫機構といっしょに認識した相手を破壊したり不活性化します。血友病の補充療法に反応して一部の患者さまに生じるインヒビターは血液凝固第VIII因子、または第IX因子に対する抗体です。
- Antihemophilic Factor:AHF(抗血友病因子)
- 血液凝固第VIII因子の別名で、血液を固めて出血を阻止するためのフィブリンを形成するのに必要な血中の凝固因子のひとつです。
- Arthropathy(関節症)
- 血友病では関節の中への出血が繰り返されることにより生じる慢性関節疾患(関節炎)です。これは血友病患者さまが日常生活で直面する障害の主な原因となります。関節内出血時の早期の製剤投与や予防投与が関節症の発生や悪化を防ぎます。
- Carrier(保因者)
- 保因者とは血友病のようなある特質を表す遺伝子の欠損があっても、その特質が表面にでていない人を指します。遺伝子は体の青写真のようなもので、髪の色、眼の色、皮膚の色などの特質を決めるたん白質を産生する指令を体に出すことができます。遺伝子はまた、特定の機能を持つたん白質を産生するよう、手引きもします。こういった遺伝子に欠損があると、体は機能障害を起こしてしまいます。血友病患者さまには体に血液凝固因子をつくる命令を出す遺伝子に欠損があるので、血液凝固障害が生じるのです。
- ヒトは染色体と呼ばれる長いDNA片上にグループ分けされた50,000から100,000個の小さな遺伝子を持っています。体細胞は46個の染色体があり、23対に配列されています。血友病を起こす血液凝固に関する情報を与える遺伝子対は、新生児が男児か女児かを決定する遺伝子と同じ染色体の上にあります。これらの遺伝子は"性染色体"と呼ばれています。血友病を起こす遺伝子は性を決定する遺伝子と同じ染色体対上にあるので、血友病の発現は新生児の性別に深い関わりがあります。その過程は次の通りです。
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- 精子が卵子に授精すると、受胎が行われます。
- 精子は染色体23個を持っていて、これは父親の遺伝子構成の半分にあたります。
- 卵子もまた、23個の染色体を持っていて、母親の遺伝子構成の半分にあたります。
- 精子が卵子に受精すると、新しい細胞の染色体の数は、父親と母親から半分ずつもらい受けるので、あわせて46個になります。
- 卵子は必ずX染色体を有しています。(ヒトは少なくとも1個のX染色体を持っています)
- 精子はX染色体か、Y染色体を1個持っています。
- 精子と卵子の両方にX染色体がある場合には女性になります。女性はXXです。
- 精子にY染色体があり、卵子にX染色体がある場合には男性になります。男性はXYです。
- 血友病の遺伝子はX染色体の上にあります。
- 血友病の素因遺伝子を持つX染色体(Xhと呼びます)が正常なX染色体と結合すると、血友病の遺伝子を持つ女の子が生まれます(性染色体はXhXになります)。
- 血友病遺伝子(Xh)を持つX染色体がY染色体と結合すると、血友病を持つ男の子が生まれます(性染色体はXhYです)。
- 母親が保因者の場合、全X染色体のうちの半分は血友病遺伝子を持っていますが、もう半分は正常です。この母親はおそらく血友病の症状は示さないでしょう。というのも、1個の正常なX染色体が血友病遺伝子を補うに十分な凝固因子を血液中に産生させることができると考えられるからです。しかし、彼女が自分の子供に血友病遺伝子を含むX染色体を譲り渡すことはあり得ます。男の子が母親からこの染色体を貰い受けると、ただ1個のX染色体が血友病遺伝子を持っているので彼は血友病になります。男の子は父親のY染色体をもらっているため血友病遺伝子を補うための正常X染色体を持っていないからです。
- 女性保因者の子供はすべて、血友病X染色体を受け継ぐ可能性が50%あります。女性保因者の娘は彼女自身保因者になる可能性が50%あり、その可能性は彼女が正常なX染色体をもらうか、血友病遺伝子をもつX染色体をもらうかにかかっています。
- 女性保因者の息子は、もし彼が母親から血友病遺伝子を含むX染色体をもらい受けたら血友病になります。彼が血友病の保因者ではない女性との間に子供を持つと、娘は血友病遺伝子を持つX染色体を受け継ぎ、キャリアになります(彼女達は全員XhXです)。それは彼のX染色体は血友病の遺伝子を持っているからです。しかしながら、彼の息子は、Y染色体を譲り受けるので、血友病にはなりません。Y染色体は血友病遺伝子を持っていないからです。
- 血友病の男性がキャリアでない女性との間に息子だけを持つと、直系の子孫から血友病は消えます。
- Christmas disease(クリスマス病)
- 血友病のタイプの一つ血友病Bの別名です。血友病Aの5~6分の1の患者数です。血友病Bの患者さまは第IX因子の活性や量が十分でないか、または全く持っていません。この病名は血友病Bと診断された最初の患者さまの一人から命名されました。
- Classic hemophilia(古典的血友病)
- 血友病の最も一般的な型である血友病Aの別名です。血友病Aの患者さまは第VIII因子の量が十分でないか、または全く持っていません。
- Cloning a gene(遺伝子のクローニング)
- 遺伝子のコピーをつくる工程のことです。まず遺伝子(DNA分子)をプラスミドベクターの中に挿入し、次にベクターは宿主細胞のなかに遺伝子を運搬し、大量の遺伝子コピーを作り出します。
- Clot(blood clot)(凝塊)(凝血塊)
- 血液の固まりのことで、創傷部位などで栓となって出血を防ぎます。
- Clotting Cascade(Coagulation Cascade)(凝血・凝固カスケード)
- 凝固因子が協力して凝血塊を形成するのに必要なフィブリンを産生するまでの一連の流れのことを指します。
- 血液は静脈、動脈、毛細血管などの血管と呼ばれる管を通って体中を巡ります。血管が損傷を受けたとき(怪我をした時)、血液が流れ出ます。引っかいたり傷つけたりして、損傷が体の外側で起きた場合は、血が流れ出るのを見ることができます。しかし、これは体の中でも起こり得ることで、その場合外から出血は見られません。しかし出血が見えても見えなくても体は出血を止めて血管を修復しなければなりません。
- 修復プロセスの第1段階は傷の収縮です。これによって流血を減少させることができます。それから第2段階として血液に含まれる血小板が傷口に急速に集まってきて応急の栓の役目を果たします。しかし、この応急の栓は2~3時間しかもたないので、通常はもっと強力な栓が必要になります。
- 血液の正常な凝固は複数の凝固因子に依存しています。凝固因子の大部分はたん白で、異なった濃度で血液中を循環しています。このたん白因子には名前がつけられ、あるいは、特定の数字がつけられています。第3段階はこの因子が強力なたん白の糸(フィブリンと呼ばれている)を作り、血小板の栓を覆う網を織りなします。この網はフィブリン凝塊と呼ばれています。このフィブリン凝塊が出血を止めると、体は損傷した血管を修復することができます。血管が修復されると、フィブリン凝塊は体内に吸収されるか、またはかさぶたとなって外部にはがれ落ちます。
- 上に述べた最初の2段階は、血友病の有無にかかわらず同じです。損傷を受けた血管が収縮し、血小板がくっついて栓となります。しかし、血友病患者さまでは強力なフィブリン凝塊をつくるための凝固因子が血液中に足りないので、第3段階がうまく起こりません。凝固因子が十分にないとフィブリン凝塊ができないか、あるいはできたとしても薄いので出血を止められません。血友病患者さまは出血が速いのではなく、ただ出血が長く続くのです。
- 血友病患者さまに欠けている凝固因子は第VIII因子か第IX因子です。どちらが欠けているかによってそのひとの血友病の型が決まります。第VIII因子が欠損していると血友病Aと呼ばれ、第IX因子が欠損していると血友病Bと呼ばれます。

- Clotting factor(凝固因子)
- 血液が凝固するまでに働く様々な血液成分(たん白)のことです。第VIII因子や第IX因子もこの中に含まれます。
- Coagulation(凝固)
- 血液凝固(clotting of the blood)と同じ意味に用いられます。凝固は液体の血液がゼリー状の物質に変わり血管の損傷部位を塞ぐ過程を指します。血友病患者さまはしっかりした凝血塊を作るのに必要な血液中のたん白(凝固因子)が少ないのです。
- Comprehensive Care(包括治療)
- 専門家のチームが患者さまと協力して患者さまの身体的、感情的、精神的生活の質を高めるためのヘルスケアを提供する方法のことです。治療は一般に血友病治療センター(HTC)のような1つの場所で行われるので専門家チームが協力して取り組むことができます。チームのメンバーには血液小児科医師、血液内科医師、心理学者、ソーシャルワーカー、歯科医師、理学療法士、カウンセラーなどが加わっています。血液検査やX線検査を行う検査室は治療センターの近くにあります。もしチームのなかにいない専門家、たとえば外科医や精神科の医師の助けが必要なときは、専門医を紹介してもらえます。
- 包括的ケアの最終目的は血友病患者さまが健康な生活を営めるように手助けすることです。血友病患者さまが、どのような問題も克服できるように、またどうすれば出来る限りの手当てができるかを学ぶための援助が受けられます。
- 包括治療チームのメンバーについて
- 関わっている医療従事者は血友病の専門家です。各チームメンバーについての概略と彼らの血友病ケアにおける役割は、次のような内容です。
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血液専門医 血液疾病を専門にする医師のことです。血液専門医は追加の検査の必要性やその他の専門医の必要性などについて決定を下す際に助言を与えます。血友病患者さまは血友病治療センターを受診後、担当医が決められます。両親に、担当医はお子さんが定期的に診察を受けるように指導し、成長と関節の発達を観察し、血液検査を行います。 ナースコーディネーター 血友病患者さまと包括治療チームとの間の連携を取り持ちます。検査の日程を決め、患者さまを専門医に紹介し、記録を保管しています。家族の教育はナースコーディネーターにとって最も重要な役目で、凝固因子投与などを含めて血友病の基礎的知識を教えます。地域の医師、学校、職場に血友病についての情報を提供するのもナースコーディネーターの重要な仕事です。 小児科医 血友病のお子さんの両親にとってこの医師が通常子供の診療にあたることになります。この医師は幼児期から児童期の発達についての専門家です。日常の健康管理問題や予防接種などについては責任を持って対応を続けます。小児科医は必ずしも包括治療チームの一員ではない場合もありますが、患者さまの必要とする医療スタッフとも積極的に協力していきます。 ソーシャルワーカー 血友病がどのように患者さまの生活にかかわってくるか熟知しています。ソーシャルワーカーは血友病患者さまの特別な問題や家族、学校、職場の日常的問題の解決に協力します。ソーシャルワーカーは経済的問題、保険などあらゆる分野にわたって協力できるよう訓練を受けています。両親に対してソーシャルワーカーは、病気を抱えたお子さんを育てる際のストレスを和らげ、助言、手段を提供し、経済的問題や保険について助言を与えてくれます。 整形外科医 整形外科医は骨と関節の発達と怪我に関する専門家です。整形外科医は血液病専門医の助言を得て、損傷した関節の手術を行います。子供達が頻繁に出血したり出血が長引いたりした場合には、整形外科医を呼んで関節に損傷の兆候があるか否かを調べてもらいます。整形外科医は痛みを和らげるための理学療法を命じたり、関節や骨を治癒するための保護具や矯正具を提供することができます。 理学療法士 理学療法士は筋肉の発達と運動協調性に関する専門家です。運動のプログラムを立てたり、スポーツや活動に関して助言を与えます。理学療法士は関節と筋肉を鍛えるために超音波、水中運動、マッサージ、その他の方法を使用します。 放射線専門医 筋肉、関節、内部損傷のX線撮影をし、その映像を分析します。X線映像により見つけにくい内部出血を検出することができます。また放射線専門医はコンピュータ断層撮影(CTs)を行い、脳および体の他の部分の断面映像をとることができます。 歯科医 地域の歯科医が血友病治療センターの歯科医と協力して定期的な検査を行い、口内出血についての質問に答えます。 臨床検査技師 血液中の凝固因子の濃度を測定しキャリアであるか否かを決定したり、インヒビターが生じていないか検査します。 -
血友病のお子さんを持つご両親へ
ご両親は血友病のお子さんが生まれたときから包括治療が開始され、またそれが一生涯継続されることを理解して下さい。包括治療とは、予防の意味合いが強く、問題が大きくなる前、あるいはまだ潜在している間に対処するということです。早い時期から定期検査を始めることで、問題を予防することができます。チームは両親の必要とする事柄を話し合い、お子さんが血友病治療センターにどれくらいの間隔で来院すべきかを検討します。
チームのメンバーはお子さんの身体状況について十分に対応してくれます。彼らはお子さんが何を考え、どう感じているかを気にかけてくれます。お子さんが学校に入学するときもアドバイスし、心構えができるように指導してくれます。治療は問題が生じるのを防ぐためのものなので、お子さんの生活がよりうまくコントロールできるように手助けします。お子さんは時期がくればどのようにして自分自身で治療する(自己注射)か、どのようにしてより健康な関節を発達させることができるか、どうすれば活動的で健康な生活を送れるかを学んでいきます。この知識によりお子さんは自分の価値を前向きに考え、社会に貢献できるようになるのです。
- Factor VIII(第VIII因子)
- 凝固因子の1つでフィブリン網を効果的に生成する過程をスピードアップします。この因子の量が遺伝子の異常により十分でないか、ほとんど欠乏した場合が血友病Aです。
- Factor VIII replacement therapy(第VIII因子補充療法)
- 血友病A患者さまの、不足して十分に働かない第VIII因子を補うために凝固因子製剤として第VIII因子を投与する治療法です。
- Fibrin(フィブリン)
- 創傷部位に結合した血小板とともにしっかりした凝血塊を形成するために凝固因子が働きあい、フィブリノゲンから形成された線維状のたん白です。
- Gene(遺伝子)
- 体の中でたん白を作り出す指令となる遺伝情報の単位です。第VIII因子を含む全てのたん白は遺伝子上の指令によって作られます。特定のたん白を作る指令を担っている遺伝子が無くなったり、損傷を受けたりすると体は適切にそのたん白を作り出せません。こうして起こる病気に血友病が含まれます。
- Gene Therapy(遺伝子治療)
- 遺伝子治療は正常な遺伝子を何らかの方法で患者さまの体の細胞内に挿入し欠乏しているたん白を作らせる方法で、現段階では治療法として確立されていません。しかし凝固因子補充療法に代わる治療法となる可能性があります。現在までのところ遺伝子治療によって病気が完治した患者さまは一人もいません。血友病の遺伝子治療は正常な因子の遺伝子(体に凝固因子の作り方の指令を与える遺伝子)を血友病患者さまの体内に入れ、その遺伝子の働きで、体が凝固因子を独力で作り出せるようになる事を期待するものです。理論的には新しい遺伝子は血液中の凝固因子のレベルを上げ、その結果凝固因子製剤の注入は不要になるはずです。この方法は血友病患者さまの完全な治癒ではありませんが、重篤な血友病患者さまの因子のレベルを軽症血友病の因子レベルにまで改善することは出来るでしょう。
- IX因子の遺伝子はずっと小さいのでVIII因子より容易に体内に入れることができるので、血友病B患者さまの方がこの方法の恩恵を最も受けやすいでしょう。
- Hemophilia(血友病)
- 血友病は血液が有効な凝塊を作ることができない遺伝性の凝固障害です。凝塊を作れないので内部損傷や大きな外部裂傷はうまく治癒することができません。血友病Aと血友病Bは性に伴う伴性遺伝として遺伝し、ほとんど例外なく男性に現れます。血友病は米国とカナダで男子出生5,000に一人の発症率と推定されています。血友病は世界のあらゆる地域であらゆる人種に起こっています。約13,500人のアメリカ人が血友病A(古典的血友病とも呼ばれています)を有し、その人達は第VIII凝固因子がないか、あっても量が不十分です。米国では約3,500人が血友病B(クリスマス病とも呼ばれている)を有し、この人達は第IX因子が無いかまたはあっても少量です。カナダでは約2,000人が血友病Aと報告され、約450人が血友病Bといわれています。日本では約3,500人の血友病A患者さまと、700人の血友病B患者さまが報告されています。
- 血友病を確認する方法は血液検査により凝固因子濃度を測定することです。もし血友病の家系であることが判っていれば、新生児は検査を受けるべきです。新生児が生まれたとき血友病Aの検査することができます。血液を臍帯から採取します。血友病Bでは、母親の因子が出産前に子供に移行しているので新生児の第IX因子はその後に測った値より高く出ます。後で検査を実施するとその数値は将来もそうであろう第IX因子の数値を示すでしょう。
- 血友病が軽症、中等症、重症に現れるかは、その人の体内にどれだけ有効な凝固因子があるかにかかっています。血友病の軽症、中等症、重症度は一生涯変化しません。しかし、出血の頻度とタイプはその人がどれだけ健康で活動的かによって変わってきます。同じ家庭内の血友病患者さまは大抵凝固因子のレベルはほぼ同じ程度を示します。
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血友病のお子さんを持つご両親へ
お子さんがどのタイプの血友病であるかを知っておくことは大切です。第VIII因子欠損であるのか、第IX因子欠損であるのか、あるいはもっと稀な型の血友病類縁疾患であるのかを確認して下さい。次に、お子さんの血友病の重症度について確認して下さい。血友病患者さますべてが同じ出血のタイプを示すとは限りません。重症度の程度が出血の状況に影響を与えます。以下の重症度は、凝固因子の活性が血中でどれくらいであるかを示します。
重症血友病 凝固因子1%以下 中等症の血友病 凝固因子1%から5% 軽症の血友病 凝固因子5%から50% 技術的には凝固因子欠損の3段階の違いは凝固因子の活性に関係しており、そのたん白の量的欠乏の程度に関係しているのではありません。お子さんが実際には正常な量の因子たん白を持っているかもしれませんが、十分に機能していない場合もあり、これらは通常遺伝的要因によります。
- Hereditary disease(遺伝的疾患)
- 親から子孫に遺伝的に受け継がれていく病気をさします。血友病症例の約半数は遺伝関係が確認できますが、血友病の家系でない新たに遺伝子の突然変異により発生した症例も多数あります。
- Immune Tolerance Therapy(免疫寛容療法)
- 免疫寛容療法(ITT)はインヒビター産生患者さまの治療法の1つで、血友病Aでは第VIII因子または血友病Bでは第IX因子を長期間大量に投与し続けて体の反応を変化させてインヒビターをなくす治療法です。この治療法に成功すると凝固因子が体内に投与されても、体がインヒビターを産生しなくなるわけです。免疫寛容療法はインヒビターの発生後、早期に行うと成功率が高いといわれています。そしてインヒビターの量が十分低下して、第VIII因子や第IX因子が出血時に効果的に活用されるようになれば、この療法の成功と見なしてよいでしょう。
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血友病のお子さんを持つご両親へ
免疫寛容療法(ITT)は一般に小児期に行われ、インヒビターが診断された後まもなく試みるべきです。免疫寛容療法は連日(あるいは隔日)行わなければならないので、欧米では、大部分のお子さんでは、乳幼児も含めて、凝固因子の投与を容易にするためポートという器具を皮下に挿入する方法が行なわれています。
投与する因子の量や期間はお子さんにより異なります。あるお子さんには免疫寛容療法を数週間だけ、あるお子さんは数か月、あるお子さんは1年あるいはそれ以上必要となります。インヒビターが消失したとしても、血液病専門医は子供が出血しているか否かにかかわらず、お子さんの体の血流中に凝固因子が残っているように週に1回か2回予防投与をすることを勧めます。免疫寛容療法には次のような欠点があります。
- 出血。お子さんが毎日因子の投与を受けていてもなお出血は起こり得ます。出血した場合は他の止血効果のある治療を併せて行います。
- インヒビターの増加。凝固因子の頻回の投与はより多くの抗体を体に産生させるかもしれませんし、短期的にはあなたのお子さんのインヒビター値は上昇することもあり得ます。免疫寛容療法に反応するのにかかる時間は人により異なります。免疫系が非常に刺激されるのでインヒビターの量を下げるのに何週間、何か月、何年かを要すかもしれませんし、この期間は投与量を増やしても止血効果が少ないのです。
- ご家族と血友病治療センターは協力して免疫寛容療法が適切かどうかを決めなければなりません。血友病治療センターは、ご家族がこの治療に関わる責任とストレスを乗りこえて治療を続けることができるかどうかを決めるお手伝いをします。
- Infusion(注射)
- 筋肉内注射、皮下注射、静脈注射などの種類がありますが、血友病の治療では静脈に薬剤を直接投与する静脈注射を行います。筋肉内注射は筋肉内出血を起こす危険性があるので、凝固因子製剤の投与なしには禁止です。
- Inhibitors(インヒビター)
- 体の免疫系が投与された凝固因子を異物(自分ではないもの)と認識してこの因子を壊す抗体を産生してしまうことがあります。その結果、凝固過程の適切な進行を妨げることがあります。体がこの抗体を産生した場合その人はインヒビターを持っているといいます。
- インヒビターをはじめから持って生まれてくる人はいません。なぜインヒビターを発生するようになるのかはまだ定かではありません。インヒビターは重症血友病患者さまに最も多く認められます。軽症や中等症の血友病患者さまでは体内に重症の患者さまより多くの凝固因子があるので、普通は投与された因子に対してインヒビターを発生することはありません。重症の第VIII因子欠乏症(血友病A)患者さまの20%から30%と重症の第IX因子欠乏症(血友病B)の最高でも4%の人が人生のある時点でインヒビターを発生します。 ある人は数回の注入後にインヒビターを発生し、ある人は因子投与開始後の何年も経ったあとで発生します。(投与開始後実投与日数十日くらいまでに発生することが多いと言われています。)一部の症例ではインヒビターが何事もなく消えるか、あるいは通常の治療には影響を及ぼさないほど軽微になっていきます。しかしインヒビターを持つ多くの人は他の治療法が必要となります。
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インヒビターを発生し易い患者さまとは VIII因子欠乏症であること 因子の量が正常の1%以下の場合 他にインヒビターを持つ人が家系にいる場合 - 米国では数ヶ月に1日の血友病センターの受診の際に採取された血液でインヒビター検査を行います。外科手術やその他の生検、抜歯などの何らかの処置を行う前には必ずこの検査を行わねばなりません。検査では次のことがわかります。
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インヒビター検査 インヒビターが存在するか否か 実際のインヒビター値 投与因子に対するインヒビター産生応答の強さ(低いか高いか) - インヒビターのレベルはベセスダ単位(BU)、つまり力価で測定されます。インヒビターレベルは数値で表され、BUが高いほどインヒビターが強く、そして止血に際しては因子の投与効果が低くなります。低い力価とは10BU以下をいい、高力価とは10BUから1,000BU以上をさします。インヒビター産生の高い低いは因子投与に対する応答の程度で決まります。因子が投与されてインヒビターレベルが5BU以下までしか上がらない場合に、インヒビター応答が低い(ローレスポンダー)と評価するわけです。もし、凝固因子が投与されてから体がそれを使用するまでにその大部分をインヒビターが破壊してしまうとインヒビター応答が高い(ハイレスポンダー)と評価されます。インヒビター応答の低い患者さまでは、VIII因子の投与で止血することができます。低/高力価と低/高応答には種々の組み合わせがあります。
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血友病のお子さんを持つご両親へ
もしVIII因子投与で効果がえられないと思われる場合や凝固因子投与後出血が止まらなかったり、悪化が見られるようであれば、お子さんはインヒビターを発生している可能性があります。担当医にご相談ください。 血友病治療センターではお子さんが包括外来をうける際、採取した血液についてインヒビター検査を行うことができます。
インヒビターを発生した血友病患者さまを治療するその他の方法
インヒビター患者さまを治療するには2つのアプローチがあります。免疫系によるアプローチでインヒビターの生成を阻止する(免疫寛容療法)、あるいは因子に対するインヒビターの反応経路をバイパスする製剤を使用する方法です。第VIII因子に対するインヒビターの存在下での出血の治療にはいくつかの方法があります。
ブタの第VIII因子(日本ではおこなわれていません)。ブタの第VIII因子はブタの血液から製した血液凝固VIII因子です。ヒトの因子に対して激しく反応する抗体でもブタの因子にはあまり反応しないことがあります。ブタ因子にアレルギー反応を示す血友病患者さまがいるので、この因子の投与に際しては医師の立会いが必要です。
インヒビター迂回活性複合体。これらの複合体は第VIII因子あるいは第IX因子に対してインヒビターを発生した血友病患者さまの出血の治療に使用されます。これらの製剤はヒト血漿由来の凝固因子の複合体を含有しており、免疫系を刺激して第VIII因子に対する抗体を生成してしまうことは少ないです。複合体製剤中の凝固因子は、製造中のコントロールされた活性化ステップにより、部分的に活性化されています。これらの複合体は通常非活性型と活性型の第 VIIと第X因子の両方を含有していて、第IIや第IX因子を含むこともあります。複合体中の活性化された第VII因子と第X因子(VIIaとXa)は第 VIII因子と第IX因子なしでフィブリン凝塊を生成することができます。そのため、インヒビター迂回活性複合体に関する凝固活性単位はしばしば"バイパス活性単位"("bypassing activity unit")と呼ばれます。血液中の第VIIa因子と第Xa因子の半減期は比較的短いのですが、第VII因子と第X因子は活性型と非活性型の両方が存在しているので1回の投与で効果が約12時間持続します。第VII因子と第X因子の非活性型は"備蓄型因子"の役目を果たし、体が必要に応じて活性化します。
遺伝子組換え型血液凝固VIIa因子。凝固カスケードの中でVIII因子とIX因子をバイパスして止血する新しい組換えインヒビター製剤です。これは、全てが活性化型のVII因子ですので血液中の半減期は短く頻回な投与-約2時間毎-が必要です。
- Monoclonal antibody(モノクローナル抗体)
- 単一の抗体を産生する細胞と分裂と成長をし続ける細胞を融合させ、実験室内で単一な抗体を産生し続ける細胞をつくり、この細胞によって産生される均一な性質をもつ抗体をいいます。このような細胞系は特定のたん白の特定の領域(エピトープ)に結合する抗体を産生します。
- Plasma(血漿)
- 凝固因子が含まれる血液の澄明な液体成分。
- Plasmid(プラスミド)
- 環状DNA分子で通常はその遺伝子を持たない宿主細胞に遺伝子を運び込むベクターとして使用されます。これは遺伝子組換えたん白を生成させるのに用いられる手法のひとつです。プラスミドベクターは第VIII因子製剤を製造する技術の中で使用されています。
- Platelets(血小板)
- 止血のために大変に重要な血液中の小さな細胞成分で損傷を受けた血管にくっついて凝塊を作り出血を止める血栓となります。
- Prophylaxis(予防投与)
- 予防投与は日常の出血を防ぐのに十分なレベルの第VIII因子を血液中に維持するために凝固因子を計画的に投与する方法です。1994年、米国のThe Medical and Scientific Advisory Council of the National Hemophilia Foundation(MASAC)は予防投与が小児の重症血友病患者さまにとって最善の治療法であるとして推奨しています。出血を予防するために予防的に投与を行います。
- 一次的予防投与は計画的に定期的に投与を行う方法です。MASACは医師が子供の出血の傾向を評価し、1才から2才の間で始めるのが望ましいとしています。
二次的予防投与はより長期間にわたります。一時的あるいは断続的な因子の投与を行います。例えば、運動、外科手術や抜歯のような医療行為の前、あるいはリハビリテーション療法のような治療の継続中に予防的に第VIII因子を投与します。 またセカンダリー予防投与は、すでに関節の損傷を経験したお子さんに対してそれ以上関節に損傷を受けないように投与することもあります。
- Recombinant Factor(遺伝子組換え血液凝固因子製剤)
- 遺伝子組換え凝固因子とは、実験室で作り出された第VIIa因子、第VIII因子、血液凝固因子のことです。これらの凝固因子製剤はヒトの血液または血漿からつくられたものではありません。遺伝子組換えDNA技術を利用して、ヒト凝固因子遺伝子をヒト以外の細胞に挿入し、その細胞がヒト凝固因子を産生できるようにします。
- 組換え因子製剤はヒト血漿からは作られていませんが、できてくる凝固因子はヒトの凝固因子とほとんど同じです。遺伝子組換えおよび血漿由来の凝固因子は物理的、化学的構造がほとんど同じで、両製剤ともヒト第VIII因子遺伝子にかかれている遺伝情報に従って作られています。体内に投与されると同じように働きます。
- 遺伝子組換え因子は下記のようにして作られます。
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- 第VII因子、第VIII因子あるいは第IX因子をコードするヒト遺伝子を、ウイルスベクターと呼ばれるある種のウイルスDNAの断片に組み込みます。つぎにこのベクターをこの遺伝子を発現させたい動物細胞の中に入れます。
- 第VIII因子あるいは第IX因子の遺伝子を含む動物細胞を、培地と呼ばれる細胞の成長に必要な栄養を含有している溶液とともに大型のタンクに入れます。
- 動物細胞は増殖し数を増やします。
- 細胞内の凝固因子の遺伝子により細胞は第VIII因子や第IX因子を生成するようになります。凝固因子がタンク内の培地の中に分泌されます。
- 凝固因子を含有する培地をタンクから取り出し、細胞をとりのぞきます。
- 遺伝子組換え凝固因子は多段階の精製過程を経て精製されます。
- その後凝固因子をバイアルにつめて凍結乾燥しラベルを貼付します。
- Recombinant Factor VIII(遺伝子組換え第VIII因子)
- ヒトの血漿からではなく遺伝子組換え技術により哺乳動物細胞系から製造された第VIII因子です。チャイニーズハムスターの卵巣(CHO)細胞系は遺伝子組換えによる治療用たん白の製造に使用されるもっとも一般的な細胞系の1つです。
- Replacement therapy(補充療法)
- 血友病では、欠乏あるいは低下している因子を代替えするために投与される凝固因子の投与のことをいいます。血友病Aには補充療法で第VIII因子が投与されます。
- von Willebrand Factor:vWF(フォンウィレブランド因子)
- 創傷部位に集まってくる血小板とともに止血のために重要な役割を果たす非常に大きな分子量の血液たん白のことです。第VIII因子の天然の安定化剤としても働き、第VIII因子が急激に壊れるのを守ります。
- X chromosome(X染色体)
- ヒトにおいて、生まれてくる子供の性を決定する2つの性染色体(XとY)のうちの1つです。
第VIII因子あるいは第IX因子を作る指令を持っている遺伝子はX染色体の上にのみあります。血友病Aあるいは血友病Bでは第VIII因子遺伝子または第IX因子遺伝子は正常に機能していません。 - 女性はX染色体を2つ持っているので、もしX染色体の1つが異常な因子遺伝子(血友病遺伝子)を持っていても、もう一方のX染色体上の因子遺伝子は殆どの場合正常であるので、凝固因子を十分に産生することができます。女性が血友病となるのは非常に稀です。
- 男性はX染色体を1つとY染色体を1つ持っています。そのため、男性の1個のX染色体に異常な因子遺伝子(血友病遺伝子)があれば、血友病となります。女性は血友病の保因者ではあっても、実際に影響を受けるのは男性のみになります。
- Y chromosome(Y染色体)
- ヒトにおいて、生まれてくる子供の性を決定する2つの性染色体(XとY)のうちの1つです。第VIII因子と第IX因子を作る指令を含有している遺伝子はX染色体の上のみに存在しています。女性はX染色体を2つ持っているのに対し、男性はX染色体1つとY染色体1つを持っています。
- 女性は血友病の保因者となりますが、男性のみが実際に影響を受けます。男性のY染色体は第VIII因子遺伝子あるいは第IX因子遺伝子を持っていないので、X染色体上の対応する因子の遺伝子によって第VIII因子と第IX因子の産生が左右されます。そのため、母親から血友病因子の遺伝子をもつX染色体を受け継いだ男性は、血友病になります。
- アルブミン(Albumin)
- アルブミンは血液中に最も多く存在するたん白です。アルブミンは医薬品として大量出血によるショックややけどなどの血液中のたん白が不足した時に用いられています。現在販売されている血漿由来のVIII因子製剤の安定化剤として、また、遺伝子組換え血液凝固VIII因子製剤の製造工程や最終製剤の安定化剤として使用されています。
- 遺伝子(Gene)
- 体の中でたん白を作り出す指令となる遺伝情報の単位です。第VIII因子を含む全てのたん白は遺伝子上の指令によって作られます。特定のたん白を作る指令を担っている遺伝子が無くなったり、損傷を受けたりすると体は適切にそのたん白を作り出せません。こうして起こる病気に血友病が含まれます。
- 遺伝子組換え血液凝固因子製剤(Recombinant Factor)
- 遺伝子組換え凝固因子とは、実験室で作り出された第VIIa因子、第VIII因子、血液凝固因子のことです。これらの凝固因子製剤はヒトの血液または血漿からつくられたものではありません。遺伝子組換えDNA技術を利用して、ヒト凝固因子遺伝子をヒト以外の細胞に挿入し、その細胞がヒト凝固因子を産生できるようにします。
- 組換え因子製剤はヒト血漿からは作られていませんが、できてくる凝固因子はヒトの凝固因子とほとんど同じです。遺伝子組換えおよび血漿由来の凝固因子は物理的、化学的構造がほとんど同じで、両製剤ともヒト第VIII因子遺伝子にかかれている遺伝情報に従って作られています。体内に投与されると同じように働きます。
- 遺伝子組換え因子は下記のようにして作られます。
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- 第VII因子、第VIII因子あるいは第IX因子をコードするヒト遺伝子を、ウイルスベクターと呼ばれるある種のウイルスDNAの断片に組み込みます。つぎにこのベクターをこの遺伝子を発現させたい動物細胞の中に入れます。
- 第VIII因子あるいは第IX因子の遺伝子を含む動物細胞を、培地と呼ばれる細胞の成長に必要な栄養を含有している溶液とともに大型のタンクに入れます。
- 動物細胞は増殖し数を増やします。
- 細胞内の凝固因子の遺伝子により細胞は第VIII因子や第IX因子を生成するようになります。凝固因子がタンク内の培地の中に分泌されます。
- 凝固因子を含有する培地をタンクから取り出し、細胞をとりのぞきます。
- 遺伝子組換え凝固因子は多段階の精製過程を経て精製されます。
- その後凝固因子をバイアルにつめて凍結乾燥しラベルを貼付します。
- 遺伝子組換え第VIII因子(Recombinant Factor VIII)
- ヒトの血漿からではなく遺伝子組換え技術により哺乳動物細胞系から製造された第VIII因子です。チャイニーズハムスターの卵巣(CHO)細胞系は遺伝子組換えによる治療用たん白の製造に使用されるもっとも一般的な細胞系の1つです。
- 遺伝子治療(Gene Therapy)
- 遺伝子治療は正常な遺伝子を何らかの方法で患者さまの体の細胞内に挿入し欠乏しているたん白を作らせる方法で、現段階では治療法として確立されていません。しかし凝固因子補充療法に代わる治療法となる可能性があります。現在までのところ遺伝子治療によって病気が完治した患者さまは一人もいません。血友病の遺伝子治療は正常な因子の遺伝子(体に凝固因子の作り方の指令を与える遺伝子)を血友病患者さまの体内に入れ、その遺伝子の働きで、体が凝固因子を独力で作り出せるようになる事を期待するものです。理論的には新しい遺伝子は血液中の凝固因子のレベルを上げ、その結果凝固因子製剤の注入は不要になるはずです。この方法は血友病患者さまの完全な治癒ではありませんが、重篤な血友病患者さまの因子のレベルを軽症血友病の因子レベルにまで改善することは出来るでしょう。
- IX因子の遺伝子はずっと小さいのでVIII因子より容易に体内に入れることができるので、血友病B患者さまの方がこの方法の恩恵を最も受けやすいでしょう。
- 遺伝子のクローニング(Cloning a gene)
- 遺伝子のコピーをつくる工程のことです。まず遺伝子(DNA分子)をプラスミドベクターの中に挿入し、次にベクターは宿主細胞のなかに遺伝子を運搬し、大量の遺伝子コピーを作り出します。
- 遺伝的疾患(Hereditary disease)
- 親から子孫に遺伝的に受け継がれていく病気をさします。血友病症例の約半数は遺伝関係が確認できますが、血友病の家系でない新たな遺伝子の突然変異により発生した症例も多数あります。
- インヒビター(Inhibitors)
- 体の免疫系が投与された凝固因子を異物(自分ではないもの)と認識してこの因子を壊す抗体を産生してしまうことがあります。その結果、凝固過程の適切な進行を妨げることがあります。体がこの抗体を産生した場合その人はインヒビターを持っているといいます。
- インヒビターをはじめから持って生まれてくる人はいません。なぜインヒビターを発生するようになるのかはまだ定かではありません。インヒビターは重症血友病患者さまに最も多く認められます。軽症や中等症の血友病患者さまでは体内に重症の患者さまより多くの凝固因子があるので、普通は投与された因子に対してインヒビターを発生することはありません。重症の第VIII因子欠乏症(血友病A)患者さまの20%から30%と重症の第IX因子欠乏症(血友病B)の最高でも4%の人が人生のある時点でインヒビターを発生します。 ある人は数回の注入後にインヒビターを発生し、ある人は因子投与開始後の何年も経ったあとで発生します。(投与開始後実投与日数十日くらいまでに発生することが多いと言われています。)一部の症例ではインヒビターが何事もなく消えるか、あるいは通常の治療には影響を及ぼさないほど軽微になっていきます。しかしインヒビターを持つ多くの人は他の治療法が必要となります。
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インヒビターを発生し易い患者さまとは VIII因子欠乏症であること 因子の量が正常の1%以下の場合 他にインヒビターを持つ人が家系にいる場合 - 米国では数ヶ月に1日の血友病センターの受診の際に採取された血液でインヒビター検査を行います。外科手術やその他の生検、抜歯などの何らかの処置を行う前には必ずこの検査を行わねばなりません。検査では次のことがわかります。
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インヒビター検査 インヒビターが存在するか否か 実際のインヒビター値 投与因子に対するインヒビター産生応答の強さ(低いか高いか) - インヒビターのレベルはベセスダ単位(BU)、つまり力価で測定されます。インヒビターレベルは数値で表され、BUが高いほどインヒビターが強く、そして止血に際しては因子の投与効果が低くなります。低い力価とは10BU以下をいい、高力価とは10BUから1,000BU以上をさします。インヒビター産生の高い低いは因子投与に対する応答の程度で決まります。因子が投与されてインヒビターレベルが5BU以下までしか上がらない場合に、インヒビター応答が低い(ローレスポンダー)と評価するわけです。もし、凝固因子が投与されてから体がそれを使用するまでにその大部分をインヒビターが破壊してしまうとインヒビター応答が高い(ハイレスポンダー)と評価されます。インヒビター応答の低い患者さまでは、VIII因子の投与で止血することができます。低/高力価と低/高応答には種々の組み合わせがあります。
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血友病のお子さんを持つご両親へ
もしVIII因子投与で効果がえられないと思われる場合や凝固因子投与後出血が止まらなかったり、悪化が見られるようであれば、お子さんはインヒビターを発生している可能性があります。担当医にご相談ください。 血友病治療センターではお子さんが包括外来をうける際、採取した血液についてインヒビター検査を行うことができます。
インヒビターを発生した血友病患者さまを治療するその他の方法
インヒビター患者さまを治療するには2つのアプローチがあります。免疫系によるアプローチでインヒビターの生成を阻止する(免疫寛容療法)、あるいは因子に対するインヒビターの反応経路をバイパスする製剤を使用する方法です。第VIII因子に対するインヒビターの存在下での出血の治療にはいくつかの方法があります。
ブタの第VIII因子(日本ではおこなわれていません)。ブタの第VIII因子はブタの血液から製した血液凝固VIII因子です。ヒトの因子に対して激しく反応する抗体でもブタの因子にはあまり反応しないことがあります。ブタ因子にアレルギー反応を示す血友病患者さまがいるので、この因子の投与に際しては医師の立会いが必要です。
インヒビター迂回活性複合体。これらの複合体は第VIII因子あるいは第IX因子に対してインヒビターを発生した血友病患者さまの出血の治療に使用されます。これらの製剤はヒト血漿由来の凝固因子の複合体を含有しており、免疫系を刺激して第VIII因子に対する抗体を生成してしまうことは少ないです。複合体製剤中の凝固因子は、製造中のコントロールされた活性化ステップにより、部分的に活性化されています。これらの複合体は通常非活性型と活性型の第 VIIと第X因子の両方を含有していて、第IIや第IX因子を含むこともあります。複合体中の活性化された第VII因子と第X因子(VIIaとXa)は第 VIII因子と第IX因子なしでフィブリン凝塊を生成することができます。そのため、インヒビター迂回活性複合体に関する凝固活性単位はしばしば"バイパス活性単位"("bypassing activity unit")と呼ばれます。血液中の第VIIa因子と第Xa因子の半減期は比較的短いのですが、第VII因子と第X因子は活性型と非活性型の両方が存在しているので1回の投与で効果が約12時間持続します。第VII因子と第X因子の非活性型は"備蓄型因子"の役目を果たし、体が必要に応じて活性化します。
遺伝子組換え型血液凝固VIIa因子。凝固カスケードの中でVIII因子とIX因子をバイパスして止血する新しい組換えインヒビター製剤です。これは、全てが活性化型のVII因子ですので血液中の半減期は短く頻回な投与-約2時間毎-が必要です。
- X染色体(X chromosome)
- ヒトにおいて、生まれてくる子供の性を決定する2つの性染色体(XとY)のうちの1つです。
第VIII因子あるいは第IX因子を作る指令を持っている遺伝子はX染色体の上にのみあります。血友病Aあるいは血友病Bでは第VIII因子遺伝子または第IX因子遺伝子は正常に機能していません。 - 女性はX染色体を2つ持っているので、もしX染色体の1つが異常な因子遺伝子(血友病遺伝子)を持っていても、もう一方のX染色体上の因子遺伝子は殆どの場合正常であるので、凝固因子を十分に産生することができます。女性が血友病となるのは非常に稀です。
- 男性はX染色体を1つとY染色体を1つ持っています。そのため、男性の1個のX染色体に異常な因子遺伝子(血友病遺伝子)があれば、血友病となります。女性は血友病の保因者ではあっても、実際に影響を受けるのは男性のみになります。
- 関節症(Arthropathy)
- 血友病では関節の中への出血が繰り返されることにより生じる慢性関節疾患(関節炎)です。これは血友病患者さまが日常生活で直面する障害の主な原因となります。関節内出血時の早期の製剤投与や予防投与が関節症の発生や悪化を防ぎます。
- 凝塊・凝血塊(Clot・blood clot)
- 血液の固まりのことで、創傷部位などで栓となって出血を防ぎます。
- 凝血・凝固カスケード(Clotting Cascade・Coagulation Cascade)
- 凝固因子が協力して凝血塊を形成するのに必要なフィブリンを産生するまでの一連の流れのことを指します。
- 血液は静脈、動脈、毛細血管などの血管と呼ばれる管を通って体中を巡ります。血管が損傷を受けたとき(怪我をした時)、血液が流れ出ます。引っかいたり傷つけたりして、損傷が体の外側で起きた場合は、血が流れ出るのを見ることができます。しかし、これは体の中でも起こり得ることで、その場合外から出血は見られません。しかし出血が見えても見えなくても体は出血を止めて血管を修復しなければなりません。
- 修復プロセスの第1段階は傷の収縮です。これによって流血を減少させることができます。それから第2段階として血液に含まれる血小板が傷口に急速に集まってきて応急の栓の役目を果たします。しかし、この応急の栓は2~3時間しかもたないので、通常はもっと強力な栓が必要になります。
- 血液の正常な凝固は複数の凝固因子に依存しています。凝固因子の大部分はたん白で、異なった濃度で血液中を循環しています。このたん白因子には名前がつけられ、あるいは、特定の数字がつけられています。第3段階はこの因子が強力なたん白の糸(フィブリンと呼ばれている)を作り、血小板の栓を覆う網を織りなします。この網はフィブリン凝塊と呼ばれています。このフィブリン凝塊が出血を止めると、体は損傷した血管を修復することができます。血管が修復されると、フィブリン凝塊は体内に吸収されるか、またはかさぶたとなって外部にはがれ落ちます。
- 上に述べた最初の2段階は、血友病の有無にかかわらず同じです。損傷を受けた血管が収縮し、血小板がくっついて栓となります。しかし、血友病患者さまでは強力なフィブリン凝塊をつくるための凝固因子が血液中に足りないので、第3段階がうまく起こりません。凝固因子が十分にないとフィブリン凝塊ができないか、あるいはできたとしても薄いので出血を止められません。血友病患者さまは出血が速いのではなく、ただ出血が長く続くのです。
- 血友病患者さまに欠けている凝固因子は第VIII因子か第IX因子です。どちらが欠けているかによってそのひとの血友病の型が決まります。第VIII因子が欠損していると血友病Aと呼ばれ、第IX因子が欠損していると血友病Bと呼ばれます。

- 凝固(Coagulation)
- 血液凝固(clotting of the blood)と同じ意味に用いられます。凝固は液体の血液がゼリー状の物質に変わり血管の損傷部位を塞ぐ過程を指します。血友病患者さまはしっかりした凝血塊を作るのに必要な血液中のたん白(凝固因子)が少ないのです。
- 凝固因子(Clotting factor)
- 血液が凝固するまでに働く様々な血液成分(たん白)のことです。第VIII因子や第IX因子もこの中に含まれます。
- クリスマス病(Christmas disease)
- 血友病のタイプの一つ血友病Bの別名です。血友病Aの5~6分の1の患者数です。血友病Bの患者さまは第IX因子の活性や量が十分でないか、または全く持っていません。この病名は血友病Bと診断された最初の患者さまの一人から命名されました。
- 血漿(Plasma)
- 凝固因子が含まれる血液の澄明な液体成分。
- 血小板(Platelets)
- 止血のために大変に重要な血液中の小さな細胞成分で損傷を受けた血管にくっついて凝塊を作り出血を止める血栓となります。
- 血友病(Hemophilia)
- 血友病は血液が有効な凝塊を作ることができない遺伝性の凝固障害です。凝塊を作れないので内部損傷や大きな外部裂傷はうまく治癒することができません。血友病Aと血友病Bは性に伴う伴性遺伝として遺伝し、ほとんど例外なく男性に現れます。血友病は米国とカナダで男子出生5,000に一人の発症率と推定されています。血友病は世界のあらゆる地域であらゆる人種に起こっています。約13,500人のアメリカ人が血友病A(古典的血友病とも呼ばれています)を有し、その人達は第VIII凝固因子がないか、あっても量が不十分です。米国では約3,500人が血友病B(クリスマス病とも呼ばれている)を有し、この人達は第IX因子が無いかまたはあっても少量です。カナダでは約2,000人が血友病Aと報告され、約450人が血友病Bといわれています。日本では約3,500人の血友病A患者さまと、700人の血友病B患者さまが報告されています。
- 血友病を確認する方法は血液検査により凝固因子濃度を測定することです。もし血友病の家系であることが判っていれば、新生児は検査を受けるべきです。新生児が生まれたとき血友病Aの検査することができます。血液を臍帯から採取します。血友病Bでは、母親の因子が出産前に子供に移行しているので新生児の第IX因子はその後に測った値より高く出ます。後で検査を実施するとその数値は将来もそうであろう第IX因子の数値を示すでしょう。
- 血友病が軽症、中等症、重症に現れるかは、その人の体内にどれだけ有効な凝固因子があるかにかかっています。血友病の軽症、中等症、重症度は一生涯変化しません。しかし、出血の頻度とタイプはその人がどれだけ健康で活動的かによって変わってきます。同じ家庭内の血友病患者さまは大抵凝固因子のレベルはほぼ同じ程度を示します。
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血友病のお子さんを持つご両親へ
お子さんがどのタイプの血友病であるかを知っておくことは大切です。第VIII因子欠損であるのか、第IX因子欠損であるのか、あるいはもっと稀な型の血友病類縁疾患であるのかを確認して下さい。次に、お子さんの血友病の重症度について確認して下さい。血友病患者さますべてが同じ出血のタイプを示すとは限りません。重症度の程度が出血の状況に影響を与えます。以下の重症度は、凝固因子の活性が血中でどれくらいであるかを示します。
重症血友病 凝固因子1%以下 中等症の血友病 凝固因子1%から5% 軽症の血友病 凝固因子5%から50% 技術的には凝固因子欠損の3段階の違いは凝固因子の活性に関係しており、そのたん白の量的欠乏の程度に関係しているのではありません。お子さんが実際には正常な量の因子たん白を持っているかもしれませんが、十分に機能していない場合もあり、これらは通常遺伝的要因によります。
- 抗血友病因子(Antihemophilic Factor:AHF)
- 血液凝固第VIII因子の別名で、血液を固めて出血を阻止するためのフィブリンを形成するのに必要な血中の凝固因子のひとつです。
- 抗体(Antibody)
- 血液中のリンパ球によって産生されるたん白で、体が異物と認識する物質と特異的に結合します。抗体は一旦結合すると、異物を破壊したり不活性化します。血友病の補充療法に反応して一部の患者さまに生じるインヒビターは血液凝固第VIII因子、または第IX因子に対する抗体です。
- 古典的血友病(Classic hemophilia)
- 血友病の最も一般的な型である血友病Aの別名です。血友病Aの患者さまは第VIII因子の量が十分でないか、または全く持っていません。
- 第VIII因子(Factor VIII)
- 凝固因子の1つでフィブリン網を効果的に生成する過程をスピードアップします。この因子の量が遺伝子の異常により十分でないか、ほとんど欠乏した場合が血友病Aです。
- 第VIII因子補充療法(Factor VIII replacement therapy)
- 血友病A患者さまの、不足して十分に働かない第VIII因子を補うために凝固因子製剤として第VIII因子を投与する治療法です。
- 注射(Infusion)
- 筋肉注射、皮下注射、静脈注射などの種類がありますが、血友病の治療では静脈に薬剤を直接投与する静脈注射を行います。筋肉注射は筋肉内出血を起こす危険性があるので凝固因子製剤の投与なしには禁止です。
- DNA・デオキシリボ核酸(deoxyribonucleic acid)
- 大多数の生物において遺伝子情報のもとになる複雑な分子(生体の指令書あるいは青写真)です。

- 特発性出血(Spontaneous bleed)
- 突然前触れもなしに起こる内部出血のことを指します。
- フィブリン(Fibrin)
- 創傷部位に結合した血小板とともにしっかりした凝血塊を形成するために凝固因子が働きあい、フィブリノゲンから形成された線維状のたん白です。
- フォンウィレブランド因子(von Willebrand Factor:vWF)
- 創傷部位に集まってくる血小板とともに止血のために重要な役割を果たす非常に大きな分子量の血液たん白のことです。第VIII因子の天然の安定化剤としても働き、第VIII因子が急激に壊れるのを守ります。
- プラスミド(Plasmid)
- 環状DNA分子で通常はその遺伝子を持たない宿主細胞に遺伝子を運び込むベクターとして使用されます。これは遺伝子組換えたん白を生成させるに用いられる手法のひとつです。プラスミドベクターは第VIII因子製剤を製造する技術の中で使用されています。
- 保因者(Carrier)
- 保因者とは血友病のようなある特質を表す遺伝子の欠損があっても、その特質が表面にでていない人を指します。遺伝子は体の青写真のようなもので、髪の色、眼の色、皮膚の色などの特質を決めるたん白質を産生する指令を体に出すことができます。遺伝子はまた、特定の機能を持つたん白質を産生するよう、手引きもします。こういった遺伝子に欠損があると、体は機能障害を起こしてしまいます。血友病患者さまには体に血液凝固因子をつくる命令を出す遺伝子に欠損があるので、血液凝固障害が生じるのです。
- ヒトは染色体と呼ばれる長いDNA片上にグループ分けされた50,000から100,000個の小さな遺伝子を持っています。体細胞は46個の染色体があり、23対に配列されています。血友病を起こす血液凝固に関する情報を与える遺伝子対は、新生児が男児か女児かを決定する遺伝子と同じ染色体の上にあります。これらの遺伝子は"性染色体"と呼ばれています。血友病を起こす遺伝子は性を決定する遺伝子と同じ染色体対上にあるので、血友病の発現は新生児の性別に深い関わりがあります。その過程は次の通りです。
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- 精子が卵子に授精すると、受胎が行われます。
- 精子は染色体23個を持っていて、これは父親の遺伝子構成の半分にあたります。
- 卵子もまた、23個の染色体を持っていて、母親の遺伝子構成の半分にあたります。
- 精子が卵子に受精すると、新しい細胞の染色体の数は、父親と母親から半分ずつもらい受けるので、あわせて46個になります。
- 卵子は必ずX染色体を有しています。(ヒトは少なくとも1個のX染色体を持っています)
- 精子はX染色体か、Y染色体を1個持っています。
- 精子と卵子の両方にX染色体がある場合には女性になります。女性はXXです。
- 精子にY染色体があり、卵子にX染色体がある場合には男性になります。男性はXYです。
- 血友病の遺伝子はX染色体の上にあります。
- 血友病の素因遺伝子を持つX染色体(Xhと呼びます)が正常なX染色体と結合すると、血友病の遺伝子を持つ女の子が生まれます(性染色体はXhXになります)。
- 血友病遺伝子(Xh)を持つX染色体がY染色体と結合すると、血友病を持つ男の子が生まれます(性染色体はXhYです)。
- 母親が保因者の場合、全X染色体のうちの半分は血友病遺伝子を持っていますが、もう半分は正常です。この母親はおそらく血友病の症状は示さないでしょう。というのも、1個の正常なX染色体が血友病遺伝子を補うに十分な凝固因子を血液中に産生させることができると考えられるからです。しかし、彼女が自分の子供に血友病遺伝子を含むX染色体を譲り渡すことはあり得ます。男の子が母親からこの染色体を貰い受けると、ただ1個のX染色体が血友病遺伝子を持っているので彼は血友病になります。男の子は父親のY染色体をもらっているため血友病遺伝子を補うための正常X染色体を持っていないからです。
- 女性保因者の子供はすべて、血友病X染色体を受け継ぐ可能性が50%あります。女性保因者の娘は彼女自身保因者になる可能性が50%あり、その可能性は彼女が正常なX染色体をもらうか、血友病遺伝子をもつX染色体をもらうかにかかっています。
- 女性保因者の息子は、もし彼が母親から血友病遺伝子を含むX染色体をもらい受けたら血友病になります。彼が血友病の保因者ではない女性との間に子供を持つと、娘は血友病遺伝子を持つX染色体を受け継ぎ、キャリアになります(彼女達は全員XhXです)。それは彼のX染色体は血友病の遺伝子を持っているからです。しかしながら、彼の息子は、Y染色体を譲り受けるので、血友病にはなりません。Y染色体は血友病遺伝子を持っていないからです。
- 血友病の男性がキャリアでない女性との間に息子だけを持つと、直系の子孫から血友病は消えます。
- 包括治療(Comprehensive Care)
- 専門家のチームが患者さまと協力して患者さまの身体的、感情的、精神的生活の質を高めるためのヘルスケアを提供する方法のことです。治療は一般に血友病治療センター(HTC)のような1つの場所で行われるので専門家チームが協力して取り組むことができます。チームのメンバーには血液小児科医師、血液内科医師、心理学者、ソーシャルワーカー、歯科医師、理学療法士、カウンセラーなどが加わっています。血液検査やX線検査を行う検査室は治療センターの近くにあります。もしチームのなかにいない専門家、たとえば外科医や精神科の医師の助けが必要なときは、専門医を紹介してもらえます。
- 包括的ケアの最終目的は血友病患者さまが健康な生活を営めるように手助けすることです。血友病患者さまが、どのような問題も克服できるように、またどうすれば出来る限りの手当てができるかを学ぶための援助が受けられます。
- 包括治療チームのメンバーについて
- 関わっている医療従事者は血友病の専門家です。各チームメンバーについての概略と彼らの血友病ケアにおける役割は、次のような内容です。
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血液専門医 血液疾病を専門にする医師のことです。血液専門医は追加の検査の必要性やその他の専門医の必要性などについて決定を下す際に助言を与えます。血友病患者さまは血友病治療センターを受診後、担当医が決められます。両親に、担当医はお子さんが定期的に診察を受けるように指導し、成長と関節の発達を観察し、血液検査を行います。 ナースコーディネーター 血友病患者さまと包括治療チームとの間の連携を取り持ちます。検査の日程を決め、患者さまを専門医に紹介し、記録を保管しています。家族の教育はナースコーディネーターにとって最も重要な役目で、凝固因子投与などを含めて血友病の基礎的知識を教えます。地域の医師、学校、職場に血友病についての情報を提供するのもナースコーディネーターの重要な仕事です。 小児科医 血友病のお子さんの両親にとってこの医師が通常子供の診療にあたることになります。この医師は幼児期から児童期の発達についての専門家です。日常の健康管理問題や予防接種などについては責任を持って対応を続けます。小児科医は必ずしも包括治療チームの一員ではない場合もありますが、患者さまの必要とする医療スタッフとも積極的に協力していきます。 ソーシャルワーカー 血友病がどのように患者さまの生活にかかわってくるか熟知しています。ソーシャルワーカーは血友病患者さまの特別な問題や家族、学校、職場の日常的問題の解決に協力します。ソーシャルワーカーは経済的問題、保険などあらゆる分野にわたって協力できるよう訓練を受けています。両親に対してソーシャルワーカーは、病気を抱えたお子さんを育てる際のストレスを和らげ、助言、手段を提供し、経済的問題や保険について助言を与えてくれます。 整形外科医 整形外科医は骨と関節の発達と怪我に関する専門家です。整形外科医は血液病専門医の助言を得て、損傷した関節の手術を行います。子供達が頻繁に出血したり出血が長引いたりした場合には、整形外科医を呼んで関節に損傷の兆候があるか否かを調べてもらいます。整形外科医は痛みを和らげるための理学療法を命じたり、関節や骨を治癒するための保護具や矯正具を提供することができます。 理学療法士 理学療法士は筋肉の発達と運動協調性に関する専門家です。運動のプログラムを立てたり、スポーツや活動に関して助言を与えます。理学療法士は関節と筋肉を鍛えるために超音波、水中運動、マッサージ、その他の方法を使用します。 放射線専門医 筋肉、関節、内部損傷のX線撮影をし、その映像を分析します。X線映像により見つけにくい内部出血を検出することができます。また放射線専門医はコンピュータ断層撮影(CTs)を行い、脳および体の他の部分の断面映像をとることができます。 歯科医 地域の歯科医が血友病治療センターの歯科医と協力して定期的な検査を行い、口内出血についての質問に答えます。 臨床検査技師 血液中の凝固因子の濃度を測定しキャリアであるか否かを決定したり、インヒビターが生じていないか検査します。 -
血友病のお子さんを持つご両親へ
ご両親は血友病のお子さんが生まれたときから包括治療が開始され、またそれが一生涯継続されることを理解して下さい。包括治療とは、予防の意味合いが強く、問題が大きくなる前、あるいはまだ潜在している間に対処するということです。早い時期から定期検査を始めることで、問題を予防することができます。チームは両親の必要とする事柄を話し合い、お子さんが血友病治療センターにどれくらいの間隔で来院すべきかを検討します。
チームのメンバーはお子さんの身体状況について十分に対応してくれます。彼らはお子さんが何を考え、どう感じているかを気にかけてくれます。お子さんが学校に入学するときもアドバイスし、心構えができるように指導してくれます。治療は問題が生じるのを防ぐためのものなので、お子さんの生活がよりうまくコントロールできるように手助けします。お子さんは時期がくればどのようにして自分自身で治療する(自己注射)か、どのようにしてより健康な関節を発達させることができるか、どうすれば活動的で健康な生活を送れるかを学んでいきます。この知識によりお子さんは自分の価値を前向きに考え、社会に貢献できるようになるのです。
- 補充療法(Replacement therapy)
- 血友病では、欠乏あるいは低下している因子を代替えするために投与される凝固因子の投与のことをいいます。血友病Aには補充療法で第VIII因子が投与されます。
- 免疫寛容療法(Immune Tolerance Therapy)
- 免疫寛容療法(ITT)はインヒビター産生患者さまの治療法の1つで、血友病Aでは第VIII因子または血友病Bでは第IX因子を長期間大量に投与し続けて体の反応を変化させてインヒビターをなくす治療法です。この治療法に成功すると凝固因子が体内に投与されても、体がインヒビターを産生しなくなるわけです。免疫寛容療法はインヒビターの発生後、早期に行うと成功率が高いといわれています。そしてインヒビターの量が十分低下して、第VIII因子や第IX因子が出血時に効果的に活用されるようになれば、この療法の成功と見なしてよいでしょう。
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血友病のお子さんを持つご両親へ
免疫寛容療法(ITT)は一般に小児期に行われ、インヒビターが診断された後まもなく試みるべきです。免疫寛容療法は連日(あるいは隔日)行わなければならないので、欧米では、大部分のお子さんでは、乳幼児も含めて、凝固因子の投与を容易にするためポートという器具を皮下に挿入する方法が行なわれています。
投与する因子の量や期間はお子さんにより異なります。あるお子さんには免疫寛容療法を数週間だけ、あるお子さんは数か月、あるお子さんは1年あるいはそれ以上必要となります。インヒビターが消失したとしても、血液病専門医は子供が出血しているか否かにかかわらず、お子さんの体の血流中に凝固因子が残っているように週に1回か2回予防投与をすることを勧めます。免疫寛容療法には次のような欠点があります。
- 出血。お子さんが毎日因子の投与を受けていてもなお出血は起こり得ます。出血した場合は他の止血効果のある治療を併せて行います。
- インヒビターの増加。凝固因子の頻回の投与はより多くの抗体を体に産生させるかもしれませんし、短期的にはあなたのお子さんのインヒビター値は上昇することもあり得ます。免疫寛容療法に反応するのにかかる時間は人により異なります。免疫系が非常に刺激されるのでインヒビターの量を下げるのに何週間、何か月、何年かを要すかもしれませんし、この期間は投与量を増やしても止血効果が少ないのです。
- ご家族と血友病治療センターは協力して免疫寛容療法が適切かどうかを決めなければなりません。血友病治療センターは、ご家族がこの治療に関わる責任とストレスを乗りこえて治療を続けることができるかどうかを決めるお手伝いをします。
- モノクローナル抗体(Monoclonal antibody)
- 単一の抗体を産生する細胞と分裂と成長をし続ける細胞を融合させ、実験室内で単一な抗体を産生し続ける細胞をつくり、この細胞によって産生される均一な性質をもつ抗体をいいます。このような細胞系は特定のたん白の特定の領域(エピトープ)に結合する抗体を産生します。
- 予防投与(Prophylaxis)
- 予防投与は日常の出血を防ぐのに十分なレベルの第VIII因子を血液中に維持するために凝固因子を計画的に投与する方法です。1994年、米国のThe Medical and Scientific Advisory Council of the National Hemophilia Foundation(MASAC)は予防投与が小児の重症血友病患者さまにとって最善の治療法であるとして推奨しています。出血を予防するために予防的に投与を行います。
- 一次的予防投与は計画的に定期的に投与を行う方法です。MASACは医師が子供の出血の傾向を評価し、1才から2才の間で始めるのが望ましいとしています。
二次的予防投与はより長期間にわたります。一時的あるいは断続的な因子の投与を行います。例えば、運動、外科手術や抜歯のような医療行為の前、あるいはリハビリテーション療法のような治療の継続中に予防的に第VIII因子を投与します。 またセカンダリー予防投与は、すでに関節の損傷を経験したお子さんに対してそれ以上関節に損傷を受けないように投与することもあります。
- Y染色体(Y chromosome)
- ヒトにおいて、生まれてくる子供の性を決定する2つの性染色体(XとY)のうちの1つです。第VIII因子と第IX因子を作る指令を含有している遺伝子はX染色体の上のみに存在しています。女性はX染色体を2つ持っているのに対し、男性はX染色体1つとY染色体1つを持っています。
- 女性は血友病の保因者となりますが、男性のみが実際に影響を受けます。男性のY染色体は第VIII因子遺伝子あるいは第IX因子遺伝子を持っていないので、X染色体上の対応する因子の遺伝子によって第VIII因子と第IX因子の産生が左右されます。そのため、母親から血友病因子の遺伝子をもつX染色体を受け継いだ男性は、血友病になります。