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はじめに

資料集

はじめに(1)

東京医科大学 臨床検査医学講座 福武 勝幸

 本書の前身である「血友病自己注射教育マニュアル」が発行されたのは、今から20 年も前の1983年7月のことでした。同年の2月1日に長年の希望であった血友病の自己注射療法が当時の厚生省により正式に認められたのに伴い、自己注射療法が安全で円滑に発展することを願い、当科の故池松正次郎助教授を中心としたスタッフによって、原稿書きから写真のモデル役に至るまで手作りに近い状態で作られたものでした。初版の序文の中に「患者さんや患者さんの家族の方々が日々感じてこられた医療上、社会生活上そして精神的なさまざまな束縛の中から一歩でも早く抜け出して、拡がりゆく可能性のもとに新たな別の世界を発見することを期待するものです。」とあり、当時の日本で血友病の患者様が置かれていた状況を反映していたものと思われ印象的でした。

 当初は東京医科大学に通院されている患者様向けの教科書として作られたものでしたが、その当時、荻窪病院の小児科で多くの血友病児を診療されていた稲垣稔先生と現在のバクスター株式会社のご協力をいただき全国の患者様にも利用していただける「血友病教育プログラムホームインフュージョン教育マニュアル」として、1983年以降版を重ねてきました。この間、凝固因子製剤の変化と共に協力会社もバクスター株式会社から日本赤十字社へと移りました。また、版毎に改訂は加えてきたものの20年の歳月における血友病医療の変化は非常に大きく、抜本的な改訂が必要と考えて1997年版を最後に増刷を打ち切らせていただき、新版の企画を進めておりました。

 2003年に本書は古巣であるバクスター株式会社のもとで、旧版の完全改訂版「血友病教育プログラム2003 ホームインフュージョンマニュアル」として復活しました。旧版は初期の血友病治療薬の時代から引き継がれたものであり、投与量の設定には製剤の容量や副作用の違いも影響していましたので、最近の考え方を取り入れて見直しました。日本血栓止血学会の血友病標準化検討部会により「血友病在宅自己注射療法の基本ガイドライン2003年版」が発表されましたので、このガイドラインに則した内容にしました。

 今回は、2008年に同部会から発表された「インヒビターのない血友病患者の急性出血,処置・手術における凝固因子補充療法のガイドライン」と「インヒビター保有先天性血友病患者に対する止血治療ガイドライン」の内容を取りいれ、さらに写真やイラストも新しくして、できるだけわかりやすいテキストを目指しました。また、注射の具体的な方法を画像で見ていただけるよう、「家庭での注射の方法~血友病教育プログラム~」のDVD を合わせて作成しました。

 これから家庭療法を始める皆様には本書を利用して医療従事者と共に知識を整理していただきたいと思います。また、既に家庭療法を利用されている方も、本書の内容をもう一度確認して、新しい知識を取り入れていただきたいと思います。最後に、今回の改訂と編集に当たりご協力いただいた皆様に心から感謝いたします。

2009年6月

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